新たな自分に出会う情報発信誌 VIVO 2012年冬号 第28号

新たな自分に出会う情報発信誌 VIVO 2012年冬号 第28号 page 19/24

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概要:
ばあちゃんは頑固だが、人の言葉を信じ易く涙もろい。そして善悪がはっきりしている。『水戸黄門』などの時代劇が好きなのも、善人・悪人が一目で判るからだと思う。正義は必ず勝つと思っている。テレビを観ながら悪....

ばあちゃんは頑固だが、人の言葉を信じ易く涙もろい。そして善悪がはっきりしている。『水戸黄門』などの時代劇が好きなのも、善人・悪人が一目で判るからだと思う。正義は必ず勝つと思っている。テレビを観ながら悪者が弱い人をいじめたり斬ったりすると「あー、ひどいことして!」と怒り、助さん、格さんが印籠を手にするとすかさず拍手し、「良かった、良かった」と喜ぶ。物事を複雑に考えたり、疑うことをしないばあちゃんは、他の利用者さん(認知症のある方)と話をしても、スタッフが冗談を言っても、全て真に受けてしまう。ある日、髪をきれいに染めたスタッフを見て、「お姉ちゃん、髪の毛いっぱいあって、白髪が全然ないねえ、私なんかこんなに白くなっちゃって。染めてもらおうかな?」「あのね、はなさんだけに教えてあげるけど、私、かつらかぶってんの。ほら、こうやって動くでしょ?」こめかみを上げ下げしてみせるスタッフに「本当だ。ねぇ、ちょっと取って見せてえ」すっかり信じ込んだばあちゃんは小さな声で「あのお姉ちゃん、かつらだって知ってる?」と何度も教えてくれる。ばあちゃんは長く勤めをしてきたこともあって、身嗜みに気をつかう。起床後、洗面所で不自由な手を動かし、義歯に丁寧にブラシをかけ、顔を洗う。仕上げは髪に櫛を入れ、一寸の間顔をじっと見る。だい分白くなった髪を気にしていたのだろうか?年を取った分だけ、最近の事が覚えられないばあちゃんも、この〝かつらのお姉ちゃん?だけは忘れないでいる。又、こんな出来事もあった。私が数日の休みを貰っている時だった。スタッフと利用者さん達との雑談中に「家の子供はアメリカで仕事をしてるんですよ。結構偉い役職で、まあ、自慢する気持ちはないんだけど…」とYさん(実は一週間程旅行に行ったらしい)。勝ち気なNさんはその話の上を行こうとして「私なんか昔、アメリカ人の恋人がいたよ」「Nさん、英語が話せるの?すごいねえ」とスタッフ。「昔は話せたけど今は忘れた」話がどう進展しようが、辻褄が合おうが合うまいがその時面白く過ごせれば良いというお喋りの時間だ。夕食時、いつもの様に魚や酢の物に手をつけず、お茶も少ししか飲まないばあちゃんにスタッフが注意をする。「飴やお菓子ばかり食べて、食事を好き嫌いすると病気になりますよ。歩けなくなったら困るでしょ」「病気になったことなんて無いから大丈夫。魚なんか食べたことないもん」と相変わらず減らず口をきき、スタッフを困らせる。「もう可奈子さんに言うよ」と言うスタッフに「そう言えば可奈子この頃居ないねえ。ちゃんと仕事してるのかね?」昼間の話が頭に残っているスタッフが「はなさんが余り我が儘だからアメリカ人の恋人の処へ行っちゃったよ」と思いつくまま口にした。作り話と思わないばあちゃんは「可奈子には三人も子供が居るんだよ!旦那もすごい良い人なのに、あれは何が不満なんだよっ」あまりのばあちゃんの真剣さにスタッフもびっくりしたが、面白がって話は広がった。「可奈子は騙されてんだろ?」「相思相愛らしいですよ」とエスカレートしていく。何日かして出勤していくと、ばあちゃんは私を睨んだまま口をきいてくれない。少し経って「お前、彼氏が居るんだって?」と恐い顔で聞く。「居ない」と言えば益々疑うだろうし、スタッフのからかいに私も便乗する気になって「うん、居るよ」と答えた。「あんな良い旦那が居て、可愛い子供もいるのに、お前は何を考えてんの」ばあちゃんは怒っている顔から不安で堪らないという顔に変わり、「大概にしとけよ」と一言、そのまま黙り込んでしまった。どうせ又、すぐに忘れるだろうと甘く考えた私だったが、ばあちゃんはそれからも時々不安そうな顔をして「もうアメリカへは行かないか?」と聞いてくる。り斬ったりすると「あー、ひどいことして!」と怒り、助さん、格さんが印籠を手にするとすかさず拍手し、「良かった、良かった」と喜ぶ。物事を複雑に考えたり、疑うことをねえ、私ちゃって「あのね、げるけど、ほら、こめかみをタッフに取って見だばあち姉ちゃんる?」と何ちゃんはもあって、床後、洗し、義歯を洗う。仕寸の間顔なった髪か?年を孫と職員の介護日記3ちゃんは頑固だが易く涙もろい。そして善悪が葉がん(認が、人の言葉そして善悪がいばあちゃんは知症のあ方孫と職介護しないん(認ありがとうばあちゃん17 VIVO次号に続く車いすのまま乗れるタクシー予約058・296・3050ぎふ福祉タクシー車いす貸出し無料です!